私に恋を教えてくれてありがとう【下】

華子の眉間がぴくりとした。


一気におびえがどこかに飛んで行ったようだ。


寧ろ、敵意を顔に向きだした。


その形相は“あの子に何かしたら許さない”と言いたげだ。


夫人にはその声が聞こえた。


「……あなたも……母親なのね……

 それに……昔あったときより少し皺ができたわね」



あのときと同じように毒々しい視線を感じたが、徐々に物憂げな瞳へと変わっていった。


「……あの時は本当に……」


「いいえ、やめてちょうだい」


煙たそうに手を振り、夫人がぴしゃりと遮った。


「どうか謝ることだけはやめてちょうだい。

 自分が惨めになるわ。

 今はどうしても凛としていたいのよ。

 あの人の妻として……最終的には優し妻だったと思われたいの。

 そして、この女が妻でよかったと思って欲しいから……」


夫人は華子に煙草をすすめたが、華子は遠慮し

夫人はひとりでたのしみ始めた。