華子は、夫人の顔をまともには見ることが出来なく、
彼女の喉元で視線が止まってしまい
ついには足元しか見ることが出来なくなった。
が、その足が前に動いた途端、華子は、ぱっと夫人の目を見た。
既に、夫人は自分の目の前に居た。
すらっとしていて、華子よりも10センチは背が高い。
夫人は、恐れ慄く華子の瞳を気持ちよく眺め、微笑し
また、髪を揺らし華子の前を過ぎた。
しかし、華子は下唇をきゅっと噛み、拳を握りしめ、夫人の方に振り返った。
「あの!!!!」
人気のない院内に響き渡った。
が、夫人は足を止める事はなく、自動販売機で飲み物を買っていた。
なんて惨めで、滑稽なんだろう……華子は顔から火が出そうだった。

