牧田は去った。



“愛しています”を“ごめん”のかわりにして


暗闇に華子を置き去り


華子も牧田を暗闇へと……。



家まで送ると一向に退かない牧田の心を揺るがせたのは

華子があまりに無表情だったためだ。



もう涙もなく


あの豊かな表情を生み出す顔の筋肉がどこにも見当たらなかったし

あったとしても

どうすればこの感情を出せるのかわからなかった。





……あまりに複雑で……。



感情の怒涛。