焼きつく記憶。

今は狭い車の恐ろしい記憶しか蘇らない。



「……何でこんなこと……


 するの……」


牧田はベルトを直しながら言った。



「……あなた……


 遠くに行くって……


 聞きました……」




------華子をもう一度手に入れたかった-------



牧田は後部座席で事を済ませ

華子の身体は縮み、酷く震え




「……


 もう……


 私の心も

 …………遠くに行ってるの……

……知らなかったですか……?」



か細いひな鳥の様な声が

車に


牧田に


遮断機を音もなくおろしていった……。