私に恋を教えてくれてありがとう【下】

疑う余地もない……。


ここは……。



「華子?」



その声に胃がグラついた。


「華子?大丈夫ですか?」



華子は業と運転席に背を向け

塵ひとつないドアのロックの溝をじっと見つめた。



彼女の自尊心がそうさせた。


シンとした車の中牧田はそれ以上何も言わず


静かな運転で車を走らせた。



高速に乗って15分ほどで華子の家に着く……


その間華子は


カーブにさしかかってもその態勢を維持し

たまにミラーから間接的に刺さる視線を感じながら


抜け出したはずの古い泥沼につかっていった……。