私に恋を教えてくれてありがとう【下】

涙の種類が変わり

空気が一変した。


日差しはやわらかく

額と鼻下を湿らせるこの湿度にさえ


愛を感じ


華子は宿り木に抱きついた。






そして

華子は小さな端末に想いをのせ


“本来の華子”の幸せへと


歩き始めた……。



「祐樹……ありがとう」



華子は囁き再び窓を開けた。


庭に燃えるような鶏頭花が咲き乱れていて


華子も燃えるような気持ちだった。




しかしその花は何かの警告だったのかもしれない……



華子を追いかける想いは


ひとつではない事


それをこのときの彼女は何とも


軽率に考えていた。




……どこかで


……誰かが


……繋がらない番号を

  何度も押しているのに……。