あちら側の蝉が
この沈黙をがやがや異常に騒ぎ立てるので
華子はその音に気を取られ
今何を考えればいいのか
思考回路を失いかけた。
『……あのさ……』
彼が先に沈黙を破った。
「ん?」
『大丈夫?』
「?何が?」
華子は百合に様に目をぱちりと見開いた。
『元気ないでしょ
泣いてた声してる』
息が止まった。
全身に静かに大きな脈が打ち
今度はこちら側のじりじりとした声と
電磁波が
華子の聴力を脅(おびや)かした。
口はぱくぱくと空振りし
声にしようとはするが
上手く空気に振動を与えることが出来ない。
そして一番に成功した音が
「……ん」
だった。
『俺に話せる?』
「ふぇ!?」
しまった。
“ん”という言葉で肯定してしまったのだ。
この沈黙をがやがや異常に騒ぎ立てるので
華子はその音に気を取られ
今何を考えればいいのか
思考回路を失いかけた。
『……あのさ……』
彼が先に沈黙を破った。
「ん?」
『大丈夫?』
「?何が?」
華子は百合に様に目をぱちりと見開いた。
『元気ないでしょ
泣いてた声してる』
息が止まった。
全身に静かに大きな脈が打ち
今度はこちら側のじりじりとした声と
電磁波が
華子の聴力を脅(おびや)かした。
口はぱくぱくと空振りし
声にしようとはするが
上手く空気に振動を与えることが出来ない。
そして一番に成功した音が
「……ん」
だった。
『俺に話せる?』
「ふぇ!?」
しまった。
“ん”という言葉で肯定してしまったのだ。

