私に恋を教えてくれてありがとう【下】

ひんやりとしたあたたかさが

頬から伝わる心地よさが

華子の涙腺をくすぐる。



「?」



頬に振動が伝わった。


白石祐樹からの着信だ。


チューリップで囲まれた彼の名前に

暫し見入り

胃の近くから喉にかけて

心音が上っていったのを感じ

生唾を飲んでから

慌てて通話ボタンを押した。



「……ぃ!

 もしもし?」



“は”の音が出なかった。


何か突っ込まれたら電波のせいにしようか。



『あ……起きてた?』


中低音が耳を温めた。



「起きてるよ

 電話出てるでしょ?」


華子節だ。



『いやいや~

 着信で起こしちゃってたら

 まずいなと思ってさ』



「あぁ……そういう……

 全く持って大丈夫だね!」



執拗に声を張ってしまった。


電話越しの彼にはどのように聞こえただろう……。


「あ……ごめん

 声大きかったね」



華子は唇を噛み

彼の溜息の様な息遣いを暫く聞いた。