私に恋を教えてくれてありがとう【下】

華子はただ平然を保っていた。


その態度は滝瀬の何かを触発させるものでしかなかったのであろう。



しかし今の華子がするべきことは

それしかなかったのだ。







外は嵐


普通に立ってはいられない。


傘は壊され

木端微塵となる。


ずぶ濡れになるのは覚悟のうえ。



落ち着く場所に帰ったら温かくして眠ろう。



……どこかでくぐもった喘ぎが

 何度も何度も叫びをあげていた。