私に恋を教えてくれてありがとう【下】

もう気持ちを大切にするだけの恋愛は終わりだ。



自分の身に起こった

ドラマの様な恋に酔いしれていた。




そろそろうつつの目を開かないといけないのだろう。




ただそれだけ……。

きっと布団を剥ぐのに手間は掛らないだろう。

ただ、本当に夢から覚めるだけなんだ……。




就業時刻が迫り

各診察室のゴミ箱を

大きい袋へと集め終わり口を閉じようとしていたら

バタバタと足音が華子の方へと向かってきた。


「あ~!よかった!

 これも捨てて捨てて!


 もう枯れちゃったからさ

 可愛い花だったんだけどねぇ

 水やりすぎたかな」



若い看護師が患者からもらった

鉢植えの生気を失って茶ばんだ花を

両手で持ってきた。




「千日草……枯れちゃったんですか」




華子は力なく手を延ばし厳かに受け取り

花の茎や葉をまじまじと観察し

看護師に言った。



「これもらっていっていいですか?」


看護師は訝しげな顔をし

きょとんとした。


「でもこれもうだめでしょ?

 まぁどうしても欲しいなら

 ゴミが減るしいいっちゃいいと思うけどさぁ」



二人はそうだねっといった感じで笑いあった。



「じゃぁありがたくもらっていきます」


「高くつくよ~」


そう言い看護師は手でお金サインをして去っていった。