すると微かではあるが壁や床、机などに今まではなかった汚れが付いているのがわかった。




「まぁまぁ。二人とも落ち着けって。

待ってれば誰かくるかもしんねーだろ?」





首を捻る俺と風間をしりめに、
十町はいつもと変わらない態度でどっかりとそこいらにあった椅子に腰掛ける。


「そんなに焦っても仕方ねーしさ?

気長に待ってよーぜ。

つうかこの部屋暑くねぇ?」








「あんたは本当に……

………もういいわ…」




クーラーのリモコンを持ちながら、くるくると回転椅子で回る十町に風間は呆れながら溜息をついた。





「ん…?……なぁ神谷ぁ…?」



リモコンを操作しながら、十町が不思議そうな顔をする。




『なんだ?……どうかしたのか?』





「いや……クーラーつかねぇんだよ…

この部屋のって壊れてたっけか?」






『クーラー?壊れてなんていないはずだが……


リモコンの電池がないんじゃないのか?』





「それはないわよ。

電池、一昨日取り替えたばかりだもの。」






「はぁ?
んじゃなんでつかねーんだよ?」





「知らないわよ……そんな事より!

どうすんのよ!誰も来ないじゃない…?」





風間の言ってる事は正しい。

いくらなんでも役員全員が、役員会にこんなに遅れて来るなんてことは有り得ない。





『……一体どうなってるんだ…?』