考えたあげくに中を覗いて口を開く。

「居るけど、俺も自信が無いんだよ。
 せめて、母さんの形見のブローチでも付けてればわかるんだけれど」

 クルルはクルルで妹に似ているようで似ていない物体に困惑した表情を隠せずにいた。

 実験体は、衣服が剥がれており毛並みが全身を覆っている。

 仮にブローチが付いているとしたら、首や手足に付けられたナンバープレートくらいしか思い浮かばない。

 しかし一刻も早くルミアを判別しなければ、事情を知らないあのドラゴンの息子がなにをしでかすか知れない。

 チェストはそんな危機感に刈られながら、内部で争う式紙三体とそれを無視して奥へと向かうルミア数体を見つめていた。

「此処からじゃ、ブローチの確認は無理っすね。 
 兄貴かさっきの少女を探すっす」

「ブギルさんが居るのか」

 クルルが顔を上げた。

「式紙が誘導されてるんっす。
 間違いないっす」

「あの神様ってのは大丈夫なのかよ」

「多分、兄貴が居るとすれば芸術品の近くっす。
 だから、妹さんが消される可能性は低いっすよ」

「どういうことだよそれはっ」

 チェストは、はたと口を閉じるとまばたきひとつした。