チェストはクルルの腕を取り倉庫から飛び出した。

 危険分子は既に外へと出ているのに、セキュリティの発動が遅れたと言うことは、爆発の影響があからさまに原因となったことを示している。

 セキュリティは「扉を」としか言っていない為に、この扉以外も閉めた可能性がある。

 チェストは、クルルを片腕に無い頭を絞って脱出経路を探す。

 気付けば案内役の鸚哥の姿も見あたらない。

 チェストは内心で境遇を呪いながらも、あのぎりぎり人間の様な生き物の後ろをクルルと共に追い掛けた。

 もしや、あの狂った生き物が道を作るのではないかと期待しながら。

 チェストの横でクルルはルミアの名前を繰り返す。

 しかし先行く彼らには届かない。

 ましてやチェストには、透明な棺から抜け出した生物が人間には見えていなかった。

 歩くこと数分。

 先程の倉庫から離れた部品を造る現場に着いた。

 現場の扉は予測通り彼らが破壊する。

 その部品工場内では、一匹の狼が雀と鸚哥と死闘を繰り広げていた。

(うわ、厄介な組み合わせっす)

 胸中で呟いたつもりが、口に出たらしくクルルの視線が付き刺さる。