しかし、安心したのも束の間、DMの身体に付いた火傷が見る間に消え去った。

 その真逆に居た兵士の剣がDMを斬り裂いたが結果は同じである。斬れた腕が胴体が息つく間も無く繋がり、再生して行く。

 そんな生き物が五千体も居ては、相殺思考で出向くしかないのだが、先程、コクリートが口にした通り、結界が町と町を区切っており神官区域に侵入できずにいるのだと言う。

 結界を解くには、結界を支えている核を破壊するか、術者を仕留めるしかない。

 現在、コクリート率いる政府軍は、神官の攻撃を待つしかない事態に陥っているのである。

 彼は状況を理解すると疲れたように、映像に目線を向けた。

「んっ、あいつ」

「どうか、なされましたかな」

「あ。
 いや、別に、分かった。
 とりあえず、敵の陣に入り込んで、核を壊せば良いんだな」

 見知った少女が、白いドラゴンを抱きかかえて、殺戮現場を抜けていく様子に気づいた彼は、一瞬瞬きをしてからコクリートの答えに返した。

「ええ、神官側も神を拒むことはしないでしょうから、と博士から聞いております」

「そうだな」

 彼は答えるだけ答えると、立ち上がり言った。

「副には言うなよ」