ゲートの向こうからは歪な破壊音と雷や種術のやり取りに似た攻撃音がやまない。

 駆けつけたコクリートもなす統べなくあちら側からの連絡を待つしか無かった。


「水路から、あちらへゆくことはできますが、な」

 参謀長が言えば、コクリートは悩ましげに眉を顰めた。

「今は、神に預けよう。
 我々の人知に及ばない事態だ」

「では、逃げてきた神官共の処理を如何なさいますか」

「今は、牢屋に入れておけ。
 山ほど聞きたいことがあるからな」

「了解致しました」

 参謀長が去り、兵士達も些か冷静さを保って来たのを見計らい、コクリートは式紙使いに命じて式紙を通路に放した。

 式紙使いにも闇技術は浸透し、式紙を通じて事態把握ができるようになっている。ただ、これにもいろいろと手順を要するために、使う人間は限定されていた。しかも、今回は結界付きである。上手く情報を探れるかはコクリートにも放した式紙使いにも手探りの状態であった。

 朝日は登り、彼ら政府側には待つだけの時間が降臨した。

 兵士の数と、バロックスの様子が分かれば水路からの突撃もと考えてはみたが、やはり、DMの脅威に勝てないことを人間であるコクリートは密かに危惧していた。