式紙の餌は術者の種力であり、精神力である。従って、式紙を倒すには、術者を仕留める方法もある。だが、アリトのように、自分に被害が出ぬように、盾として使う場合が殆どで、術者に攻撃を当てることは難しいと言われている。

 また、中途半端な知識で式紙を想像すると、クルルが言った混合生物ができる。

 混合生物とは、ネズミの形をした栗鼠や鶏のようなアヒルと言う具合だ。

 その上、闇の世界では、式紙の命霊を改良し自分の代物に変えてしまう技術が最近になって使われている。

 元々、連絡や癒やしの為の存在だった式紙は、今や体のよい兵器と化しているのである。

「万策尽きたっす」

 あからさまに諦めるチェストに、クルルは苦笑いを浮かべる。

「ゲートは開けられない。
 あっちの様子もわからないじゃ話にならない。
 掛け合ってくる」

「待つっすよ。
 神官側のクルっちじゃ、門前払いっすよ」

「大丈夫さ、DMの話をすれば開けてくれる」

 クルルは小走りに兵士に近寄ろうとしたが、チェストはそれを止めた。

「あんだよ。
 手っ取り早くて良いだろ」

「もう少し考えるっすよ。
 俺っち見つかるとやばいんっす」