「ラプラス団をご存知ですか、やつらがまた何かをしでかしているんです」

「となると、暴走原因はラプラス団の誰かの仕業でほぼ決定ですね」

 ペシェが、パイプオルガンを動かしながら言ってくる。

「可能性はありますね。
 何を、なさっているんです」

 ヴォルラスは扉の外に一瞥くれて、其方へ声を掛ける。

「動かされておりましてね、多分、此処から消えたのでしょう」

 パイプオルガンの陰にある蓋をずらす音に、ヴォルラスは肩をすくめる。

 蓋の先には、水路よりも暗い闇がある。

 ペシェが無言で飛び降りるとヴォルラスもそれに続いた。

 その直後、教会にDMがむやみやたらに攻撃を仕掛け、数分とたたずして、建物は破壊された。

 明け方間近の空に煙が上がり、その光景は隣町からでも眺めて取れたと言う。

 半密封された空間で、それぞれの黒い思惑がゆっくりと絡み始めていたが、渦中の彼らが気づくことは無かった。