ヴォルラスは、その意図を汲み取り悩むような顔をするが直ぐにマンホールの蓋を開けるようにと頼み込む。

「行ってどうする。その人もDMの餌食になってるやも知れないのに」

「私は、別件でバロックスに用事があります。
 ですから、心配には及びません。
 後、このことを裏路地に居る神様に伝えて頂きたいのですが」

「神様だと、あんた疲れてるなら良い精神科を紹介するよ」

 ヴォルラスの真面目な口調に、中年男は言う。

「いえ、行けばわかります。
 頼みましたよ」

 ヴォルラスは、詳しい説明を省き開いたマンホールに飛び降りるとゲートの地下をくぐり抜けた。

 ヴォルラスが地上に這い上がると、捕縛されていたDMの効力が切れて、町は更に壊滅の危機に襲われていた。

 ヴォルラスは、蓋を締めて固定し一息に教会までの道のりを走り抜ける。

 ラプラス団が絡んで居るとすれば尚更、スピカの安否が気遣われた。

「政府の方ですか、一体、何用です」

 そこに立ちはだかった青年にヴォルラスは止まった。

 年はヴォルラスよりひとつふたつ上で、神官用IDが組み込まれている十字架のネックレスが胸元に揺れている。