口を開いた女の横には、種の光に照らされた蒼銀色の狼が静かに鎮座する。
「そうか、最近洗ってないから、金貸してくれ」
出迎えの言葉に、帽子とサングラスを取り彼は、ヴォルラスに目線を向ける。
娘を守りながらの戦闘によほど苦労しているのか、スピカによって治療された筈の傷がまた増えている。
ヴォルラスから言葉は無かったが、娘の前に佇む様子に意識があるものだと彼は納得して、女に向き直った。
「お金でその子を頂けるなら、手を打ちましょう」
細い月の下、戦争とかけ離れた場所で女は薄く微笑する。
「却下だ。
あんたが変装している時ほど厄介なことはない」
彼は、理由もそこそこに女を捕まえようと間合いを詰めるが、それを見越して狼が立ち入ってくる。
「隊長さん、アリトはルミアさんを狙っています」
ヴォルラスがその時声を上げた。
彼はなぜとは聞き返さず狼を蹴り飛ばして、アリトに手を伸ばしたが、今度はその腕を狙い矢が突き刺さった。
だが、彼はうめき声も上げずにアリトの服を掴む。
彼の血は、動きの止まった足元に静かに落ちた。
「このまま、牢屋に連れて行ってやるよ」
「そうか、最近洗ってないから、金貸してくれ」
出迎えの言葉に、帽子とサングラスを取り彼は、ヴォルラスに目線を向ける。
娘を守りながらの戦闘によほど苦労しているのか、スピカによって治療された筈の傷がまた増えている。
ヴォルラスから言葉は無かったが、娘の前に佇む様子に意識があるものだと彼は納得して、女に向き直った。
「お金でその子を頂けるなら、手を打ちましょう」
細い月の下、戦争とかけ離れた場所で女は薄く微笑する。
「却下だ。
あんたが変装している時ほど厄介なことはない」
彼は、理由もそこそこに女を捕まえようと間合いを詰めるが、それを見越して狼が立ち入ってくる。
「隊長さん、アリトはルミアさんを狙っています」
ヴォルラスがその時声を上げた。
彼はなぜとは聞き返さず狼を蹴り飛ばして、アリトに手を伸ばしたが、今度はその腕を狙い矢が突き刺さった。
だが、彼はうめき声も上げずにアリトの服を掴む。
彼の血は、動きの止まった足元に静かに落ちた。
「このまま、牢屋に連れて行ってやるよ」
