種にもそれなりの基本は備わっている。

 発動には呪文、詠唱、鍵詞。また、似た属性同士のぶつかり合いには効果無効である。

 今、神官区域にはなんらかの結界が張ってある。その境遇で捕縛用の種術が発動することは無い。

「馬鹿ね、結界の操作は簡単なのよ。
 こちら側は私達の区域ですもの」

 シスターが、高い建物からセスナを見下ろしてくる。

「さあ、神様、ご選択を。
 あなた様の命をあの地に還すか、その少女とドラゴンをシュイリ様に捧げ今回は退くか」

 右腕をセスナの方向へ向けて、勝ち誇った笑みを浮かべる。

「どっちも却下だ」
 彼は言い捨てるなり、兵士を踏み台にシスターがいるほうへと移動しようとした。

「んあっ」

 シスターが声だけ漏らして苦痛の表情を浮かべると、セスナの捕縛が解ける。
 移動を中断した彼の前で、シスターの肩口にボーガンが突き刺さっていた。

 部下達が騒ぐ中、飛び上がったセスナに飛び乗った彼はボーガンの飛んできた先を見つめた。

 バンダナに繋ぎを来た青年が、セスナ上にいる少女を狙っていた。

 丁度その頃、気を失っていたスピカが目を覚まし、ゆっくり体制を上げる。