スピカもその青年も少女とは初対面ではない。

 迷わずに青年はサーベルを納め動けないスピカを抱き上げるとセスナに飛び乗った。

 散らされた兵士達が、俊足でセスナに群がるのを振るい落として空へと浮上する。

「助かりました。
 しかし、君は何故ここに」

 剣士と呼ばれたヴォルラスが、血を袖で拭い聞いた。

 少女は軽く首を振り、いつものようにわからないのと答えて、セスナを誘導する。

「副さんは、大丈夫なの」

「種の使いすぎです、多分、大丈夫ですよ」

「きんぴかに、探してこいって言われたの。
 なんだか凄く焦ってたよ」

「そうですか、スピカさんだけ宿にと言いたいところですが、神官達に政府側だと気付かれてしまいましてね。
 隊長さんも回収して一旦、外へ出て貰えませんか」

「やってみる」

 少女はヴォルラスの提案にそれだけ言うと、彼が暴れているだろう場所へセスナを降ろした。

 当然、兵士達の動きも彼の動きも止まる。

 と、それを待ち構えて居たかのように女の高らかな声が上がり、セスナの足元中心に捕縛用の種陣が浮かんだ。

「うそっ」

 種にそれなりの知識がある少女が、目を見開いた。