少女は立ち止まりセスナの傷を癒す。

 回復したセスナを空に飛ばしスピカを探すように命じると、少女は別の方向へと走り出した。

 二件馬車屋を回った後に、スピカらしき人間とスーツにサーベルを付けた人間を見たと聞いて少女は安堵し、二人が向かった先を目指す。

 ただ、移動に馬車を使ったという馬車屋の主の言葉通り、走って二人に追いつける見込みはなかった。

 セスナが舞い戻ると、少女はセスナの身体を自分が乗れるサイズにする。

 町中でのその行為は、無駄に人目を引いたが、少女はなにも感じていないのかそのまま、セスナで町の空へと舞い上がる。

 町は円形をしていた。

 少女が先程まで居た施設はどうやら丁度真南に存在するらしい。

 青年と兵士が乱闘する場所から煙めいたものが上がり、また、もう一カ所では騒ぎが起きている。

「セスナ、あそこっ」

 少女はセスナを急降下させた。

 少女とて確信はなかったが、ほかにめぼしい場所もない。

セスナの羽根で群がった兵士を散らすと、スピカを庇うように佇んだ伊達眼鏡の青年が、血まみれで立っていた。

「副さんに剣士さん、乗って」

 少女は、兵士達には目もくれずに言った。