まるで、異物を排除するように単調な動きで少女に攻撃を仕掛けて来たのである。

 セスナが、少女を守ろうと拳の餌食となる。

「バックミラーっ」

 少女が叫べば、野獣とも人間とも言えない兵士の手足が吹き飛んだが、神経が見る間に伸びて手足を構成させる。

 それを目の当たりにした少女は、茶色の瞳を浮つかせた。

 その眼前、兵士が吹っ飛んで青年が少女と兵士の間に割って入る。

 兵士を蹴り飛ばした青年の帽子が外れて、この世界にひとつだけの色が揺れた。


「あ、きんぴか」

 少女は、セスナを拾い青年に言う。

「副、探してこい」
 言葉を返した青年は、直ぐさま兵士を殴り付け、投げ飛ばして時間を稼ぐ。

「え、どこにいるのっ」

「馬車屋だ。
 さっき連絡が来てた」

 兵士の動きが単調なだけに、彼は攻撃を避けて言い放つ。

「わかった、探す」
 少女は傷ついたセスナを抱き締めて、乱闘から離れるように走る。

 しかし、この広い町にある馬車屋を特定はできない。悩みながらも人に尋ねて近い場所から探すしかない。

 スピカとの連絡手段は無いのだから仕方ないとは言え、兵士を一挙に引き受けている青年が気になった。