「この場では無理……それに、ハピネスがディスクを食っている今、この現状下で生きているPCがあると思って?」

 諦めた口調にスピカは、目線をリンメイに向けた。

「どこかに工場の機械を操作するPCがあるはずです」

「あるにはあるわ、丁度、突き当たりの角を曲がって直ぐの右側の扉」

「行きましょう。
 隊長、ヴォルラスさんをお願いします。
 僕はDMを別の方向へ歩かせます」

「パスは必要ないのかよ」

 DMを蹴り飛ばし、彼が振り向く。

「必要ですよ。
 止める、為に。
 ですから、早めにヴォルラスさんと長官さんを連れて来るようにお願いします」

 スピカはそう言って、リンメイの手を取り走り出した。

「やっぱり、私、死ぬのかな」

 二人が消えた角を見遣り、ラミアがぽつりと呟く。

 彼は聞こえない振りをし、DMを叩き付けた。

「お前等さ、本当に人間なのか」

「うん。
 お母さんが、完璧な人間を作るんだって、私をこうしたの」

 ラミアは、指を折り回復する姿を見せた。

「お前、それで幸せだったのか」

 彼はすぐさま視線を外し、DMに裏拳を打ち込み聞いた。