クルルも、後に続く。

「なんだ、此処」

「出来上がった部品を置く場所だよ」

　一度来ていなくても周りを見れば予測は付く。

　クルルの呟きに彼は即座にきびすを返す。

「なあ、どこへ向かうんだ」

「雀を追い掛けているだけだよ」

　彼は振り向きもせずに、羽を広げた雀を先導に工事の奥へと突き進む。

　やがて、雀はPCハピネスがある部屋の扉に激突した。

　中で何が起きているかも、扉を壊すことで何があるかも知らない彼は、躊躇いなく扉を破壊した。

　今更のように警報機が作動する。

　彼はそれすら無視して、種拘束具と俗に呼ばれる腕輪を取り付けられたスピカの方へ足を向けた。

　警報機の音を目覚まし代わりに、スピカが気が付くと、彼は軽くスピカの肩を揺する。

　まばたき二回ほどしてスピカが彼を見れば、彼はその手をどけた。

「目、覚めたか」


　DMの血がスピカの皺だらけなスーツに点いたが特に気にはせずに、一言掛けた。

「あ、はい、良かった、クウが導いたんですね」

　掠れた声で言うスピカの横で、ヴォルラスも軽く身体を動かした。

「こっちの神官達も大丈夫みたいだ」