リンメイはそんな二人のやりとりに、壮絶な違和感を感じていた。

(夫婦漫才?)

 問い掛けたいのをなんとか堪えて、観念したブギルが指差した天井を見る。

 そこには通気口が存在した。

「工事の人間が入れるくらいのスペースはあるだろう」

「高さがありすぎよ、あそこまでどうやって登るのかしら」

「サインコサインタンジェントという、鍵詞が建築業界にある」

 ブギルはそう言うとピアを呼び出し、その意味不明な鍵詞を口にして手を叩いた。すると、式紙鸚哥のピアが、サイズを変えた。

「高さを測り、サイズ変更をする効果がある。
 因みに高さは五メートルだ」

「外に出て屍だったら、呪い殺すわ」

 ピアにアリトを乗せて先に通気口の蓋を開けさせ、リンメイを乗せ、最後にブギルが通気口に消えた。

 PCハピネスには、抜けなくなったディスクが残され、部屋の隅には連れて来られたスピカとヴォルラスとペシェ、そして未だに薬に踊らされるギバルだけが転がっていた。