「そうよ」

 アリトは尚も、冷酷な表情のまま素っ気なく答える。

「冗談抜きで、それは嫌だ」

 珍しく余裕の無いブギルにアリトは些か疑問を持つが、芸術品と言う未知生物とまともに張り合って、生身の人間が勝てないことくらい、等の昔に察しがついていた。

 目前の男が怯えるのも無理はない。そう言い聞かせようとした瞬間、肩を掴まれて更に、驚愕しとっさに種を爆発させた。

「なによ」

 煤焦げた服を払うブギルにアリトは口を開く。

「君を殺して私も後を追うよ」

「信じられない。
 貴方が先に死になさいよ。
 というより、そんな考えしか浮かばない馬鹿だとは思わなかった」

 明らかに呆れた口調のアリトに、ブギルは苦笑い答える。

「そういう君も、なにも思い付かないんだろう」

「それは、そうだけれど、貴方と死ぬつもりはないわ」

 いがみ合いに似た言い合いを端で見ていたリンメイが、すっと手を挙げる。

「ねえ、貴方達の関係って……何」

「腐れ縁の同級生?」

 アリトとブギルの即答に、リンメイは二人を直視するだけ直視ししなんとか口を開いた。

「私に聞かれても分かるわけないでしょう」