ついで、弾き出された見取り図には、損傷箇所を示した赤いランプがついている。

 ブギルが示した経路には、赤いランプがついていて道を粉砕されたことだけが示されている。

 他の扉もロックされ、内側から破壊するにも外側から破壊するにもなんらかの仕掛けが用意されていた。

「元はといえば、アリトが悪いのだから、芸術品が来たら相手してくれればそれでいい、か」

 諦めたようにブギルが言えば、アリトは頬をひきつらせる。

「この後に及んで良くそんな冗談が言えるわね」

「仕方ないだろう、頼みの綱の彼女が、パスを知らないと言うんだから」

「でも、芸術品は基本的に貴方しか狙わないわ」

「アリト、君の考えは分かってるよ。
 私を生け贄に自分だけ逃げるつもりだったんだろ」

「そうよ、だったらなに」

 開き直るアリトにブギルは真顔で返した。

「心中しょうか」

 アリトとリンメイの両方が、ブギルの突飛な一言に目を点にする。

「ひとりで死んで」

 アリトがため息を吐いた後に辛辣な一言を、冷たく言い捨てる。

「どの道死ぬ運命なんだ、今、此処で命を落としても悔いはないだろ。
 それとも何かい、芸術品の手に掛かって、凹凹(ボコボコ)になれと言うのか、それもひとりで」