映像に目を向ければ、一糸乱れぬ青年が次から次へとDMを潰し、あるいは解体していく。 

「い、いやっ。
 見たくないっ」

 元は人間。

 少なからず、それを理解しているリンメイは、狂うように首を振り部屋の外から聞こえる雑音から逃れようと、種拘束具と呼ばれる腕輪を付けた手で耳を塞いだ。

「あるんだろう。
 彼らを止める術くらい」

 ブギルがすかさずリンメイの手を取り囁いた。

 此処に居ればどの道全滅になる。

 それはリンメイにもよくわかる結末だった。

「工場の見取り図ならハピネスから抜ける。
 だけど、ディスクにロックが掛かるなんて私も知らない」

 怯えるように、首を振るリンメイの様子に演技や嘘は無かった。

「この中に潜んでいて、奴が外側から扉を粉砕するまでは、動かない方が身のためかもしれない」 
 震えながら、リンメイは言う。

「扉を破壊すると、今度は警戒態勢を引いている隣の領域に通報されるわ。
 政府からも援軍が来るだろうし、逃げ場がなくなる」

 アリトは、画面に向かいキーを指でなぞる。

「クラフト、銀雨はどこからあなたを連れてきたの」