リンメイの間抜けな問い返しに、ブギルとアリトは疲れたように肩をすくめた。


「だからこそ、芸術品が来る前に此処を出る必要がある」

 アリトとブギルの要求は、簡単に言えばそういうことだった。そして、そのために脱出経路を確保しDMの行動を止めるために、一時期手を組もうという提案である。

 だが、その前にリンメイにはわからないことが幾つも存在した。

 何より頭では整理しきれない状態である。

 その時、部屋の外で何かが砕ける音が響いた。

 アリトとブギルは顔を見合わせる。

 アリトがPCハピネスに触れ、小機画面に映像を流した。

 これも、式紙と同じ要領で熟練者がやる技術だ。

 移された映像の先で、この世界にひとつしか無い色を持つ青年が、向かい狂うDMを一匹、一匹丁寧に葬って行く。

 ただ、破壊したそばから再生するDMは、一向に減る気配が無いのも事実だった。

 その光景にはリンメイも耐えられなかったのか、悲鳴を上げて目線を逸らした。

「パスを言いなさい、あなたも死にたくは無いでしょう」

 アリトがリンメイに言い放つ。