「待って、データのコピーはグリンティの中、これを消したらまたややこしくなる」

 ブギルを睨み、言葉を吐く。

「グリンティとイリス介入は、我々には皆無だからね。
 まあ、私には開発部とパルマ氏が何をしでかそうと知ったことではないよ。
 次いでに、ラプラスという団体が解体されても、個人的に被害はないわけだ」

「どうやって調べたの」

 淡々と喋るブギルからアリトはおとなしく画面に顔を向け直して言う。

「秘密、秘密」

「クラフトっ、私のルートを使ったのね」

 それきり、ブギルは口を閉ざした。

 パス記入は後二回。

 外の騒ぎにも若干の焦りを覚えながら、アリトは唇を噛み締めた。

「キーワードは無いのかい」 

「女が持ってても意味が無い、それくらいよ」

「それは、三十秒も掛けて打ち込む長さかい」

「それもそうね」

 ブギルの言葉にはアリトも同感だった。

「なんならもう一度、DMのお母様に聞いてみるのもありよ」

 壁際で目を覚ますシスターリンメイに軽く親指を向ける。

「それと、クラフトはどうやって此処に入ったのよ」

「ん、君の狼が案内してくれたんだ。
 何時もと同じようにね」