画面を見つめたままで、会話する二人の遙か向こうの壁際で、捕らえていたシスターリンメイがもぞついていた。

「あの時、講師に殺されてれば、今頃、会話しなくてすんだのに」

「とりあえず、講師と私は関係ないよ。
 這い上がったら、生きていただけさ」

「銃の代わりにしている部品をどけてくれるかしら」

 沈黙した後、振り向きもせずに言い切る。

 そのすぐ後、カチリと引き金が弾かれた。

「甘いんだから、相変わらず」

「それだけかい。
 もう少しリアクション欲しいんだけれどね」

「なにも出ないわよ。
 それよりも、なぜ居るの」

「居てはいけないかい。
 私には私の都合がある」

 アリトの後ろからブギルが手を伸ばしキーを押した。

「馬鹿、只でさえ苦手な癖に」

「知識はある。
 調べものには良く使うしね」

「だからって、これが何か分かっているの」

 アリトは振り向いた。

 ブギルの付けている香水が、キツくなる。

「分かっているさ。
 政府側もこれを狙っているわけだからね、確認しなければと思ったわけさ」

 パスの回数を減らして、軽く笑う。