雀はバランスを保てずに、落下する。

「話さないと駄目か」


　彼は、地面を二本足でよたよたと歩く雀に視線を向けた。
　クルルはやはり黙って頷き、彼の目線を追い掛ける。

「実は俺も良くわからなくなってきた。
　最初は、奴らを片付けるだけだったんだが」

　そう言うと、彼はルミアの後を歩き始めた。

　そしてそれらが動きを止めるまで、彼は面倒臭そうに今までの経過をクルルに話した。

「それで、なんで雀なんだよ」

「可愛いからだと。緊急事態の時に和んでも仕方ないのにな」

　彼の頭の上に乗せられた雀は、緊急事態にスピカが飛ばす式紙なのだ。

　スピカが近づくに連れて、羽で方向を示す。

　彼とクルルはそれを頼りに歩き続ける。

　二人にはルミアがどこへ向かうのかまったく検討がつかないでいた。

「そうだ、チェストの奴大丈夫かな」

「大丈夫だろ。
　殴られ慣れてるから」

　ふとしたクルルの言葉にさり気なく彼は言い、動きを止めたルミア達に半眼の眼差しを向ける。

「っと、逃げるぞ」

「は、なんでだよっ」

　いきなり、クルルを突き飛ばした彼に向かい水柱が降る。

　壁にぶつかるクルルは目を回して、ずり落ちた。