間抜けた顔で振り向いたチェストの顔面に拳が練り込み、チェストはそのまま吹き飛ばされて、気を失った。

「おい、雀を見なかったか」

　帽子とサングラスが取れ、長い黄髪と黄眼を露わにした彼が、不機嫌にクルルに聞いた。

　クルルは、見たこともないその色に初めてその青年が持つ異質な雰囲気に悪寒を感じた。

　言われた雀が居る方へぎこちなく、指を向ける。

「何、道草喰ってんだよ、馬鹿雀っ」

　彼は怒鳴るなり、三体の式紙を蹴散らして、目的の雀を鷲掴みにした。

　そんな彼に鸚哥と狼が即興のコンビネーションで攻撃を仕掛けたが、彼にはたわいないことでしか無いのか全く相手にせず、片腕で鸚哥の命霊を破壊し、狼の首にある命霊をルミア擬きに突き刺さったボーガンの矢であっさりと砕いてしまった。

　そこまでの動作をクルルは目線で終えずに、呆然としている。

「なあ、これ人間なのか」

　雀を掴んだまま、彼が倒れている生物のことを聞いた。

　クルルは黙って頷く。

「俺の妹が居るんだ」

　なんども何度も口にしたことを告げる。

「あんたは、なんで此処に来たんだ」

　聞かれた彼は面倒そうに雀を空に投げた。