【完】絶対引力



電車を降りて、改札を出て新宿に着いた。

流石は新宿だ。

夜でも人が沢山集まる街。


キャリーケースを引っ張りながら人混みを歩く。

駅を出て少し歩いたところで急に後ろから声を掛けられた。


「ねぇねぇ、少〜しだけでも時間無い?」


顔を覗き込まれる。

驚いて顔を上げると、そこには短めの明るい茶色の髪の男。

しかもスーツ。


いかにもホスト、みたいな。

まぁ、ホストなんだろうけど…。


「うっわー。かーわいい!」


キモ…。


上から下までじろじろと見る男。


…失礼だと思うけど、気持ち悪い。

こういう感じの男の人は苦手。

というより嫌いに近いかもしれない。