「うっ………。」
「どうした?ジェネシス。」
「意外といけます。」
「お前の味覚はわからん………。俺はあんまり好きじゃないんだ。」
裕子ちゃんの飲みかけの缶コーヒーについて、しかもその缶コーヒーの上で談義する二匹。
しかし、この二匹の憩いの時間は、長くは続かない。
すぐに裕子ちゃんが気づいてしまうのである。
「ヤダ!スパオオ!
と………ハエ?
えっ!?スパオオとハエ!
驚いて立ち上がった裕子ちゃん。
「隊長さん!気づかれました!逃げないんですかっ?」
「叩かれたら逃げる。」
「いや、僕は人間 怖いんですよ~。」
「大丈夫だ。こういう若い女は手出しをしないんだ。」
「へぇ~、知らなかったなぁ(笑)」
なんて悠長な会話を交わしている二匹なのだが、その間に裕子ちゃんは冷静にもバッグからデジタルカメラを取り出し、撮影を始めたのである。
もちろん動画で。
「なに?この二匹!
なんで落ち着いてコーヒー飲んでんの?
こんなに寄っても、ぜんぜん逃げないし!」
「お姉さん、騒いでますね?」
「気にするな。俺達が珍しいだけだ。」
「そんなものですかね~(笑)」
「まあせっかくビデオ撮っているらしいから、ちょっとサービスでもしてやるか?ほれ、お前も右足を上げて。」
「こうですか?」
「うん、それでいい。
じゃ、そろそろ行こうか?南紀はまだ遠いし。」
飛び出した二匹。
「あっ………。
行っちゃった!
スパオオとハエ………。
どうゆうこと?
喧嘩してたのに………。
でも、これもスクープかもしれない!
貴重なショットだわ!
ディレクターに電話しなきゃ!」


