愛媛からの伝令として送られたのは、若い働き蜂であった。

名前は小吉。

少し知恵遅れの傾向があるが、黙々と働くところにはちょっとした評判があった。

その評判を聞いた龍之介は、この子ならばと起用したのだ。



その小吉だが、広島側の島に行ってしまい、広島のミツバチに事の経緯を説明していたのである。

その後、そこが広島であることを聞かされ、半ベソをかきながらその場を立ち去って行った。


不必要なまでの責任感。
龍之介の命令であることの重責。
若い小吉は、生まれて初めての強大なプレッシャーと戦っていたのだ。
しかも、小吉は龍之介のことを恐い人と思っているから、始末が悪い。



名誉挽回とばかりに、山口方向へ(優しい広島の蜂に教えてもらった)一目散に飛ぶのだった。