昨日、昼休みに食堂へ行こうとしたら、あいつがテニス部の男たちに絡まれて連れていかれてた。
まったく……。
イライラする。
「……ショウ、先に行っててくれ。」
気がつくと、いつもつるんでいる同じクラスの、田中青吾(タナカショウゴ)に告げていた。
「わかった、早く来いよ。」
その返事を聞いたが、
まったく頭の中に入ってこず、
顔はあいつが連れていかれた方を向き、内心、心配で仕方なかった。
―――――――――――
――――――――
―――――
―――
「なにしてんの?」
見ると、実莉が男たちに腕を組まれていた。
ちっ、イライラする。
一気に、気分が悪くなる。
「あっ、結城…。
お前こそ、何か用かよ?」
一人のやつが、俺を見て聞いてくる。
「…別に。
実莉、こっちこい。」
『はっ、はいっ!!』
3人に囲まれてる実莉は、
困った表情から驚きの顔になり、
逃げるように俺の後ろに隠れた。
その行動に、かわいさを感じる。
背中に、何か自分になついた小動物がいるように、心地よい暖かさを感じた。
残された3人の男たちを、冷たく見つめ、目で「消えろ」と訴えると、
気まずそうな顔をして去って行った。
すると、安心したのか俺の肩から、ため息が聞こえた。
.