俺は、昨日の夜、実莉が手を切ったこと、どうして倒れたのかを聞いた。


肩を震わせて、過去の事故のことを話す実莉。


平常心を装うとしているのがわかる。


きっと、周りに心配かけまいとする性格のせいで、ずっと1人で過去と戦ってきたんだと思うと、胸が苦しくなった。


抱きしめたい。


自分の気持ちが抑えられねぇ…。


こいつを守りたい。


もうダメだ。


気がつくと抱きしめていた。


こんな小さい体で、頑張ってきたんだと思うと、抱きしめる腕に力が入る。


顔をあげろと言う俺に、『恥ずかし過ぎるから無理です』と答える実莉。


困らせたい俺がSな性格もあるけど、恥ずかしがっている実莉の顔を今すぐ見たい。


「顔…あげろよ。」

『……先輩の…、イジワル……。』


実莉が潤んだ瞳で上目づかいをし、頬を赤くしてゆっくり顔を上げた。


どうしようもねぇな。


その顔が、俺を狂わせた。


目が合った途端に、抑えきれない感情があふれ出し、実莉にキスしてた。


『んっ―!!』