氷の上のプリンセス


スポーツバックを片手に持つ長身のスタイルは、やっぱり結城先輩。


先輩に気づいた私は、足を止めた。


先輩もこっちに気がついたみたい。


ドキドキ。


先輩に見られただけで、
心音が超加速する。


「犯人はお前か…。」


へっ!!?


犯人って私!?
なんか悪いことした!?


『あっ、あの…。
私、何も悪いことした覚えはない……と思うんですけど…。』


若干、語尾に自信がなくなっていったのは、
特に理由はないけど、もしかしたら知らない間に、何かしでかしてるかもしれないと思い始めたから。


足を止めた私とは逆に、
そのまま向かってきた先輩はもう目の前にいた。


私の言葉を聞いた先輩は、フッと息を吐くように微笑んで、目を細めた。


優しい先輩の笑顔に、思わず見とれてしまう。

「違う。
入り口のドア、開け閉めしてたの実莉だろ。
その犯人。」


『そういうことでしたか……。
良かったぁ。』


「なんだ?
お前、なんか他にやましいことあんのか?」


『あっ、ありませんよ!
潔白です!!』