言うべき…?


言ったところで先輩に迷惑をかけちゃう。

言わない方が良いかもしれない…。


でも、綺麗な黒い瞳で見つめられたら、何もかも見透かされそう。


『自分で足滑らしちゃって落ちちゃったんです。』


勇気のない私は、
頑張って笑顔を作ったけれど、先輩のその瞳をそらしてしまい、ベットの上掛けを軽く握りしめ、目線は自分の手にしか向けられない。


何も答えないままの私に、先輩がしびれを切らした。


気づいたら、先輩の指が私の顎をクイッと持ち上げ、端正な顔を近づけ無理やり視線を合わせられた。


「目をそらすな。
本当のことを言え。」


『………。』


真剣な眼差しに、逃げることなんてできない。


でも、心の底では自分を心配してくれてることが嬉しい。


だけど、素直に甘えられない自分がいる。


「俺じゃ…、力になれないか?」


少し切なげな表情をした結城先輩は初めて見た。