「ちぇっ、アーンしたかったのになぁ〜。」


やっと諦めてくれた真君にほっとしたけど、思った以上に周りがこっちを見ているのに気づく。


特に女の子の視線が痛い…。


視線の中に、良く見知った顔があった。


切れ長の綺麗な二重の瞳が、冷たい表情で見ている。


結城先輩にも見られてたんだ……。


一瞬目が合ってしまい、その瞬間目を反らされてしまった。

はぁ、泣きたくなる…。


『もう…、やめてよね!!』


「ごめん、ごめん♪つい、実莉ちゃん見るとからかいたくなっちゃって。

そうだ、これから結城先輩のとこ行くけど、一緒に行く?」

『えっ!?
……どうして……?』


「だって、実莉ちゃん結城先輩のこと好きでしょう?」


『っ!!!!!!』


「わかりやすすぎだもん、実莉ちゃん。まっ、でもそのうち俺の方向いてもらうけどね♪」


私は、パニックし過ぎて真君が何言ってるのか理解する能力が残っていなかった。


「行こっか!!」


まともになる時間も与えてもらえず、私の腕は真君に引っ張っていかれ、結城先輩の下へ連れて行かれてしまった。