「はぁ―…。」


今日の空は雲が一つもなく、透き通っていた。
その上、気持ちのいい風まで吹いてる。
何の悩みもなさそうな空に、少しだけ嫉妬した。

人間なんかに、生まれて来なければよかった。
望んでなんかいなかったのに…。


「……。」


ここから飛び降りたら死ねるかな。
よくない考えが頭に浮かんだ。

考えている内に、私の手は柵を掴んでいた。
この高さから飛び降りたら、間違いなく即死だろう。
でも、何故か“怖さ”は全く感じない。

覚悟を決めた、その時―…


「おい!何してんねん!」


凄い力で引き戻された。
勢い余って飛ばされてしまった私。
何が起こったのか、理解出来ない状態だった。


「お前アホか!」

「……。」

「死のうとしたんやろ?」

「うん…。」

「そんな簡単に命投げ出したらあかん!」

「何も知らないくせに言わないでよ!」

「でも、命は大事なものやから。簡単に捨てたらあかん。」

「…生きてるのが辛いの…!」


名前も知らない男の子に言われた事が、ショックで屋上を飛び出してしまった。

何も知らないのに言われたくない。
私の辛さなんて分かるはずないのに…。


屋上を飛び出したものの、今更授業なんて受ける気にもならず、そのまま家に帰る事にした。