「おはよう。」

「おはよう。来るの早いね。」


私達は、学校へは一度も行かず、お昼前に公園の近くのコンビニで待ち合わせをした。

私より先に待っていた村上君。
遅刻しそうなタイプだと思っていたから、少しビックリした。


「行くか。」

「うん。」


公園までの道のりは会話一つなかった。
ただ、ずっと目的地を目指して歩くだけ。


「あ。輝君…」


公園の入口に立つと、一目で分かった。
前と同じ場所で、同じギターを持って、同じ歌を歌っていたから…。


「遥花ちゃん!久しぶりやなぁ!」

「はい。お久しぶりです。」


私達が挨拶を交わすと、少し後ろにいた村上君が私の前に立った。
それも、とても険しい表情で…。


「…輝。俺の事分かる?」

「お前…光か…?本間に光なん?」

「覚えてくれてたんやな。」

「何でここにおるん?大阪に住んでたはずやろ?」

「転校して来てん。」

「そうやったんや。…お袋は元気にしてる?」

「元気やで。親父は?」

「元気に働いてるわ。」

「そうか。よかった。」


会話について行けない私は、ぼーっと二人を見ていた。
話の内容もさっぱり。
関係なんてこれっぽっちも分からない。

ただ二人を見ているしか、今の私には出来なかった。