君を忘れない


「はい、できましたっ。」

そういって
ぎゅっとネクタイを上げると
僕の肩を軽く叩いた。

「よっし。行くか!!」

玄関まで小走りで行き
素早く靴を履いた。

そこへ律夏が駆け寄り

「ちょっと。
人に鞄持って来いとか言っておきながら
よく忘れられるわね。」

と言って
鞄を突き出した。

「あ、ごめんごめん。忘れてた。
ありがとう。」


頭をかきながら鞄を受け取ると
律夏は

「ほんっとあたしがいないと
何もできないんだから。」

と呆れた様子で
僕の顔見た。