しかし 社会人にもなると どうもそういう訳にはいかず 悪戦苦闘の毎日だ。 案の定 今日もゆるくて 締まらないネクタイと にらめっこしながら 時間が刻々と迫っていた。 それを見かねた律夏は ため息をひとつこぼし 「しょーがないから やったげる。貸して。」 といって ネクタイに絡んだ僕の手をどけた。