昔ってほど前じゃない。

最近ってほど新しくない。


ある一人の女の子のお話です。




とある高校に、それは可愛い女の子がいました。



…−−−―


『ごめん、好きな人ができたの』



向かい合う男子に別れを切り出す様子は手慣れていた。


「そっか、」


俯いた頭に申し訳なく思うけど、ヨリを戻すことはないと思う。



空き教室からさっさと退散して、教室へ帰還。

待ち構えていたのは友達の尋問だった。



「どおして毎回毎回振っちゃうのよ!!!!」


信じられない、と友人であり幼なじみである嘉穂(カホ)が頭を振る。


『どうして、って』


「サッカー部、期待のエース、顔良し頭普通性格は花まる!!!」


優良物件。
嘉穂の比喩は的を射ていた。


けれども。


『優しいだけじゃ、嫌なの』