[>姫紀--




優衣は気づいてないんだろうな。
無邪気な笑顔で話しかけてくれる。



私、優衣のこと傷つけるかもしれないんだよ?



優しい優衣でも許してなんかくれない。






「―――・・・き・・・さ~きぃ?」



「!?」



目の前には優衣がいた。




「どうした~?」



「あ~!ごっめぇ~ん!ぼーっとしてたわ~w...で何ぃ??」



「部活どれにしようか~って話だよ~!!」




優衣とは同じ部活入りたくない...。
だって.......





私の大好きな陸也くんは
私の大好きな優衣に夢中。




同じ部活に入ったら、陸也くんは優衣に会いにくるだろう。
そんなところ見たくない。
これ以上優衣のことを好きにならないでほしい。



もしかして酷いことをするかもしれない。





神様どうして私から、大好きな人・大好きな友達を
奪っていくの?




私は自分の恋を叶えたい。
優衣には譲れないよ...。





前を見ると、楽しそうに話している2人の姿が目に映った。





「ちょっと~!2人で話してないで私もいれなさいよ~!!」



わざと明るくふるまってみた。




「あー、ごめん神埼!」



陸也くんに名前を呼ばれるだけで跳ねる私の心臓。



「さ~きぃ~!  だって、りくがぁ~!!」



そう言ってくる、私の大好きな友達。



「お似合いぢゃん......」




本当にそう思ってる訳じゃないのに
私の口から出た言葉。



嘘で塗り固められた私。
こんなんじゃ嫌われちゃうよね。
優衣にも、陸也くんにも...。