この世界で二度きみを殺す

『もぉ、そーちゃんの甘えんぼさん♪』


『あ、はは…』



さきほどの大人っぽさというか、一種の神秘さを感じる不思議な雰囲気はかき消されていた。


いつの間にか、普段の明るさが上書きされている。



そこに店員の高い声が割り込む。



『失礼いたします』の一言に適当に相槌を打つ間もなく、

テーブルの上に注文した皿が次々に並べられていった。


そしてそれを少し離れた世界の出来事のように見つめながら、僕は思っていた。




さっきの返事、聞いてないんだけど。




…別に、話を逸らすつもりで言っただけだから構わないっちゃ構わないんだけど。



話を戻すのも何となく気が引けたので、

僕らはテーブルを彩る食べ物を腹の中へと移しながら、他愛のない話を続けた。