この世界で二度きみを殺す

その後、本や文房具を見て回り、ランジェリーショップで大変気まずい思いをさせられた後、

4階にあるファミレスへと向かった。


ちょうどお昼の時間帯という事もあり、店内は客もスタッフも賑わっている。


そんな中、僕らは運良く窓際の席を案内してもらえたのだった。



そして、窓の外へと視線を注ぎ続ける僕を見て、ちさとが口を開く。



『そーちゃん、へそ曲げないで。
でも、実は"下着見ちゃったラッキーうへへ"とか思ったでしょ?』


『思ってない!』



あまりにも真面目な様子で言ってくるから、思わずテーブルから乗り出してしまった。



も一度言うが、僕は断じてそんな事は思ってない。


人目が行き交う中、そんな思いに至れる勇者がいたら、その男気に大きな拍手を送りたいぐらいだ。


それほどの気まずい思いしかしていない。本当に。



『あ、それと思ったんだけど、そーちゃんはブルーが似合うよねえ』


こういうのを名誉毀損って言うんじゃないか?


そう思いつつ、僕は女の子の下着をつける趣味も無いという事を追記する。



『あははっ、違うよぉ。バッグの話!

白いシャツをダメージデニムでちょっと着崩してー、それにブルーのおりこうさんバッグを合わせるの』


『おりこうさんバッグって…、大学生がよく持ってるプラスチックの四角いやつ?』



息の詰まる話題をため息で一掃し、下の文房具屋での事を思い出す。


そこには無色の半透明を始めとした7色のバッグが棚に並べられていて、

ちさとは服屋での興奮さをぶり返し、1色1色僕に合う物をと吟味したのだった。